PAO(パオ)はほうれい線改善に効果なし?
左右に長いバーの先端におもりが付き、それを加えて振ることでほうれい線や頬のたるみなどを改善するとされるPAO(パオ)。登場するやいなやその目新しさから多くの注目を集めました。
しかしここで疑問。パオを使うことでほうれい線やたるみは解消されるのか?
ほうれい線を作り出す頬のたるみや真皮の衰えは表情筋を鍛えることで改善されるというのが一般的な認識。であればパオには一定の効果が見込めるようにも感じます。
一方で筋肉をピンポイントで鍛えるとほうれい線はむしろ悪化するという話も。
ほうれい線やマリオネットラインなどで悩んでいる人が使用を検討するであろうパオ。この商品で本当にこれらの悩みが解消するのか検証してみたいと思います。
- PAO(パオ)とは?
- メーカーが謳うパオの効果
- パオの使い方
- ペットボトルエクササイズより効果的か
- 表情筋を鍛えるとほうれい線が悪化する説
- パオの効果に否定的な意見も
- PAO(パオ)の価格は高すぎる
- PAOは使う価値があるのか?
PAO(パオ)とは?
ほうれい線の改善に効果を発揮するとされるフェイシャルフィットネス パオ(PAO)がどういったもので、販売するメーカーはどんな会社なのかについて簡単に触れておきましょう。
多くの女性が加齢によって直面する顔のたるみやシワ、ほうれい線を改善するフィットネス機器として売り出しており、中央部のマウスピースを加えて上下に振ることで効果を発揮します。
パオには「スリーモデル」と「セブンモデル」の2つの商品が存在。基本的なサイズは同様ながら、ベーシックなセブンモデルは先端のおもりを付け替えることで自分に合った重さにすることが可能。
一方でスリーモデルはおもりと一体化されているため付け替えは不可。その代わり3,000円安くなっています。
2014年7月に発売され、
ちなみに大きさは両モデルとも全長54cm。結構長い。
パオの販売メーカー
製造・販売しているメーカーは株式会社MTG。サッカー選手であるクリスティアーノ・ロナウドが広告塔になったシックスパッド(SIX PAD)を販売する企業としても有名。2018年には株式上場するなど勢いがあります。
CMを展開するパオやシックスパッドのイメージキャラクターが共に外国人で、かつアメリカ人とかが好みそうなフィットネス商品であることから海外の企業かと思いきや、愛知県に本社があるれっきとした日本企業。
もちろん製品も日本製なので信頼性は高いといえるでしょう。
メーカーが謳うパオの効果
独自のテクノロジーによって口まわりの筋肉を鍛えるとされるパオ。実際の試験においても表情筋を鍛えることが証明されたとされます。
自社が行う試験において表情筋を鍛えることが証明されたとするパオ。そのメカニズムは共振運動にあるとのこと。
それによって口まわりの5つの筋肉を鍛えることができるらしい。
中でもほうれい線や顔のたるみに効果があるのは小頬骨筋や大頬骨筋。ここを鍛えることで顔が引き締まり頬のたるみが解消、結果ほうれい線が薄くなるというメカニズムになっています。
また、頬筋や笑筋を鍛えることでフェイスラインが引き締まるとも。年を取ってくると顔が四角くなりがちなのはこれらの筋肉が深く影響しています。
パオはこれら表情筋の運動を検証し、学会に発表しています。専門家や医師が推奨しているのもこういった検証が実を結んでいるのかもしれません。
パオの使い方
女性の多くが直面するほうれい線やたるみ、シワに効果があるということで急激に普及しているパオ。2017年1月の段階でシリーズ累計販売数が50万本を突破しているというから驚きです。
しかし、これまでも急激に人気が出て一気に廃れていった健康器具って結構多いんですよね。古くはぶら下がり健康器、ロデオボーイ、バランスボールなどなど。購入当初は頑張ってやるけど、徐々に面倒くさくなるのが大きな理由。
そういった点から、こういったフィットネス器具はいかに手軽に行えるかが重要になります。
それを踏まえパオの使用方法を見てみると…
これは確かに楽かもしれない。
特に「いつやる」という制限はなく、テレビを見ている時など空いている時間に行えばいいだけ。1回30~90秒1日2回程度を限度としていますので、無理に頑張る必要もありません。
使い方に関してもマウスピースを口にくわえて上下に振るだけ。実際にやってみると最初は口まわりの筋肉に明らかな疲労感を感じます。普段はそれだけ口や頬の筋肉を使っていないということなんですね。
セブンモデルであれば18g、23g、28gの3種類のバランスウェイトが付属しますので、筋肉や疲労の状況に応じて付け替えることが可能です。
ただ、私は歯医者などですぐにオエッとなる嘔吐反射が強い人間なので、体調が悪かったり、くわえていることを強く意識したりするとえずきそうになることも。マウスピースが思いのほか大きいんですよね。
嘔吐反射が強い人は注意したほうがいいかも。
ペットボトルエクササイズより効果的か
パオに興味を持っている女性は多いと思いますが、購入に際しネックになるのが価格なんですよね。その代替案としてよく取り上げられるのがペットボトルエクササイズ。
ペットボトルを使うのであればお金はかかりませんし、やり方も比較的手軽。問題はペットボトルエクササイズでパオと同等のトレーニング効果が得られるのかどうか。
ペットボトルを使用する2つのエクササイズを実際に行ってみると、これもかなり効果的な印象を受けます。パオ同様口まわりの筋肉に明確な疲労感がありますからね。なので、ペットボトルで続けられる人はこちらで十分な気もします。
ただ、使っている筋肉がちょっと違うかなーと感じるのも確か。ペットボトルは口輪筋とか顎回りの筋肉を使っている感じはあるものの、頬の筋肉に関してはパオの方がしっかりと鍛えられている印象も。
また、ある程度の出費がないとついついサボってしまうという側面も。
なんというか、お金を払うと「続けなきゃ」という気になるんですよね。何十万円もするライザップなんかも、高いお金を払うからこそ厳しいトレーニングを続けられるのかもしれない。
一方、お金がかからないペットボトルだと長続きしない気も。
モチベーションという点においてはパオの方が良いのかもしれません。
表情筋を鍛えるとほうれい線が悪化する説
主に口まわりや頬の筋肉を鍛えられることが大きな売りであるフェイシャルフィットネスパオ。ただ、顔の一部の筋肉を鍛えると、ほうれい線やシワがかえって酷くなるという意見も。
曰く、加齢などによって肌に弾力やハリが無くなっている状況で筋肉ばかり鍛えると、変な方向に引っ張られほうれい線やたるみが悪化してしまうというのです。
ある栄養素が体に良いからといってそればかりを集中して摂っても効率的に使えず、むしろ過剰摂取による悪影響が目立つのと一緒。顔の筋肉も適度なバランスが重要になるとのこと。
それは顔全体の筋肉をバランスよく鍛えることに加え、肌の状態に合った筋肉が重要という考えになっています。
シワやたるみ、ほうれい線の対策は表情筋を鍛えることというのは半ば常識化している一方で、極力無表情を貫くなど顔を動かさないほうがシワやほうれい線を防ぐことができるという考えも根強く存在。
パオの性質上、鍛えるのは頬や口まわりの筋肉のみ。頭皮のエクササイズが顔のたるみ解消などリフトアップに繋がるなど、顔や頭全体で一つながりという考え方が浸透しつつある昨今、口まわりのみのトレーニングがどこまで有効なのか疑問も。
パオの効果に否定的な意見も
実際パオの口コミなどを見てみると、その効果に対して賛否があります。
小顔効果や引き締め効果、ほうれい線が薄くなったなど好意的な意見がある一方で、まったく効果がなかったという口コミも多くなっています。まあこういった商品は個人差がありますからね。
そんな中、批判的な意見としてたびたび取り上げられるのが、近畿大学の生物理工学部 人間環境デザイン工学科准教授である谷本道哉氏が行った検証。見たことある顔だなーと思ったら、たまにホンマでっか!?TVに出ていた人なんですね。
氏はパオが効果を示すとされる5つの筋肉から、詳細な分析が可能な大頬骨筋、笑筋、口輪筋の3つに咬筋を加えた計4つの筋肉の運動を計測。
パオの運動レベルを1として、比較対象とした他の運動が相対的にどの程度の増減になるのか検証しています。他の運動とは具体的に以下の7つ。
- ギュッと寄せる
- 口角を上げる
- 「あえいうえおあお」と口を動かす
- 「うーわー」と口を動かす
- 「ウィスキー」と口を動かす
- ガムを噛む
- 爆笑する
結果、「ギュッと寄せる(顔を?)」「あえいう…」では4つすべての筋肉においてパオを上回る活動が確認され、他の運動においても口輪筋以外はパオを上回る筋活動が示されました。
そう、パオによる運動やトレーニングより、日常にちょっと意識すれば簡単に行える顔の運動の方が効果的だという結果に。
パオのメーカー側は表情筋を鍛えることが証明されたと謳う一方、第三者が検証したケースではたいした運動にはなっていないと結論付けている。うーん…
様々な商品を見てきた人間として言わせてもらうと、自社データは自分たちに都合のいいものだけを前面に出す傾向にあるのは確か。
実際、公式サイト内には「顔の筋肉を鍛えることが証明された」「表情筋運動が可能」とは書いているものの、具体的にどの程度鍛えられるのかには言及していない。そこが重要なんですけどね。
「表情筋運動が可能」って、日常生活でも表情筋の運動くらいしてるわ。
谷本道哉氏の検証を鵜呑みにするわけではありませんが、内部のデータと第三者のデータであれば、後者の方が信用できるケースが多いのも確か。
PAO(パオ)の価格は高すぎる
ほうれい線やシワ、たるみに対して必ずしも効果があるとは言いきれないPAO(パオ)。しかし値段が安ければ気軽に試してみることができますよね。
しかしこの価格がまた…
価格 | |
---|---|
スリーモデル | 10,584円(税込) |
セブンモデル | 13,824円(税込) |
高い。ハッキリ言って高い。
研究・開発にコストがかかっているのでしょうが、薄いステンレスを樹脂で覆った程度の棒に約14,000円はさすがに高すぎる気がします。腹筋をトレーニングするワンダーコアの実売価格と同じくらいですからね。
しかも1~2年程度で「折れた」「壊れた」という声も多い。口にくわえ唇で支えるという性質上軽さを追求する必要があるため、強度面に不安が残るのは理解できますが…
まあ、こういったフィットネス機器はある程度の出費がモチベーションに繋がることも多々ありますので、「やる気を持続させるための費用」と割り切ることもできなくもないかと。
とはいえ、私が持っているパオがもし壊れたら、もう2度と買わないと思う。
PAOは使う価値があるのか?
結論としてパオは購入する価値があるのでしょうか?
実際に使ってみた感想として、口まわりや頬の筋肉を使っている印象はあるものの、ほうれい線やたるみが目に見えて改善したと実感することはありません。
鏡を見てなんとなく効果があるように感じる時もありますが、そもそも顔の状態って日によって異なるためプラシーボのような気も。「効果なし」と断言はできませんけど、「効果あり」というほどでもない。
上でも書いたように、顔の筋肉ってバランスも重要だと思うんですよね。パオを使って顔の下部分ばかりを鍛えたところで頬のたるみや、それに伴うほうれい線が改善するのかは大いに疑問でもあります。
喜怒哀楽などの表情が顔全体の筋肉を動かすことを考えると…パオを使って鍛えてもアンバランスになるだけのような気もします。
せめて安ければ「とりあえず試しに使ってみてもいいんじゃない?」と言えるんですけどね。この価格となると無責任におすすめもできない。
フィットネスやダイエットに対し「お金を払うからこそ続けられる」と感じている人はパオを使ってみる価値はあるのかもしれません。しかし、そうでないなら顔全体を使うエクササイズを行った方がいいのではないかと感じています。
確実に言えることは、嘔吐反射が強い人にはおすすめできないこと。おかげで私もほとんど使わなくなりました。メルカリで売ろうかな…
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