ヒアルロン酸ではほうれい線は消えない?
化粧水や美容液といったものからヒアルロン酸を配合した飲料など美容分野で活躍目覚ましいヒアルロン酸。当然ながらほうれい線にも影響を与えている成分なのですが、詳しい働きや効果ってご存知ですか?
また、ヒアルロン酸を使用している美容関連商品は多いものの、その効果に疑問を呈する声も多く、特に内服するタイプでは「まったく効果が無い」とする声も多数聞かれます。
そんなこともあって肌の弾力やハリを維持する上で絶対に欠かせない成分ながら、外部から補給する方法にどれほどの効果があるのか知りたいという人も多いのではないでしょうか。
そんなヒアルロン酸の詳しい働きや効果、飲んでも効果があるのかどうかなど詳しく検証してみましょう。
ヒアルロン酸は体のいたるところに存在
ヒアルロン酸は肌(皮膚)の真皮に多く含まれ水分をしっかりと保持することによってコラーゲンやエラスチンと共に肌の弾力やハリを維持しています。
また、関節などの軟骨にも多く含まれ、スムーズに動かしたりクッションの役割をしたりといった働きをすることでも知られた成分。
加齢と共に出てくる関節痛はヒアルロン酸を多く含む軟骨がすり減ることが原因となることが多いため、ひざなどに直接ヒアルロン酸を注入し痛みや炎症を和らげる治療もあるほど。
目の硝子体の中にもヒアルロン酸が多く、眼球の形状の維持などに役立っているなど、ヒアルロン酸は水分を溜め込み、その弾力を活かし全身至るところの形状維持に貢献していることになります。
ほうれい線に対するヒアルロン酸の働き
ほうれい線ができる原因の多くは真皮にあります。
加齢や紫外線などによって真皮の弾力やハリが衰えると、肌に溝ができたりたるんだりといったことが起き、これによってできる頬のたるみと深いシワがほうれい線という事になるのです。
その真皮はコラーゲンとエラスチンによって形作られていますが、肌の弾力やハリを維持する上で欠かせないのがヒアルロン酸。
繊維状に張り巡らされたコラーゲンやエラスチンの間をヒアルロン酸が保持する水分が満たしているような形となっており、この水分が減少してしまうと肌のハリや弾力も失われてしまい深いほうれい線を作ってしまうことになります。
線維芽細胞が作るコラーゲンとエラスチンが肌を形作り、ヒアルロン酸が保持する水分によって弾力が維持されているのです。
ヒアルロン酸が含まれる食べ物
ほうれい線を消したり予防したりする上で欠かせないヒアルロン酸ですから積極的に摂取したいところですよね。
ヒアルロン酸が多く含まれている食べ物として挙げられるのは鶏の手羽先や軟骨、魚の目玉や豚足などコラーゲンが豊富な食品や、納豆、オクラ、山芋といったネバネバした食べ物になります。
ただ、上でも書いたように全身の細胞にわたってヒアルロン酸が含まれるため、特に意識して摂取する必要はない上に、後述しますが食べてもあまり意味が無いという問題もあるため、「ヒアルロン酸を摂る」というよりは「ヒアルロン酸を増やす」という点に着眼するべきですが…
現実問題としてタンパク質などと違いアミノ酸を補ったところでヒアルロン酸が増えるわけではなく、体内でヒアルロン酸を増やすのはそう簡単なことではありません。
あえて言うならヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞の働きを活発化させることが増加に繋がると考えられますので、ビタミンCやEといった抗酸化作用の強い栄養素を積極的に摂るくらいでしょうか。
外用・内服でのヒアルロン酸の効果
多くの化粧品や美容飲料に配合されるヒアルロン酸ですが、その効果を疑問視する声も少なくありません。
まず、飲んだり食べたりする内服で見てみると、ヒアルロン酸は非常に高分子なので体内でそのまま吸収されることはありえず、細かく分解されて全身に散らばることになります。
これが再びヒアルロン酸として合成されるかといえばそういうわけでもなく、飲むヒアルロン酸はほとんど意味なしというのが美容関係者や専門家のコンセンサス(一致した意見)になっています。
ヒアルロン酸を肌に塗ったら?
一方で化粧水や美容液など肌に塗るヒアルロン酸はどうなのか?
飲む場合にヒアルロン酸の高分子がネックになるように、肌に塗る場合でもこの高分子が仇となり真皮まで届くことはありません。
ただし、確かに真皮まで届くことはないものの、肌の表面に留まり「1gで6リットルの水分を保持する」と言われるその効果による保湿は十分に期待できます。
化粧水などに含まれるヒアルロン酸は真皮に届かせるためのものではなく、肌表面の保湿を目的としているのです。
低分子のヒアルロン酸も多く登場している
ヒアルロン酸は100万以上の分子が結合しているとあって肌にも体にも吸収されることはありませんが、近年は低分子ヒアルロン酸の研究が進み、これを売りにした商品も続々と登場しています。
とはいえ低分子といえど肌に吸収されるかどうかはまた別問題。一般的に肌に吸収されるには分子量が500~800くらいでないとならないとされる一方、多くの低分子ヒアルロン酸は5000~10000なので、結局は吸収されないとする意見も多数。
仮に分子量が500以下のものであったとしても、肌の角質層が脂溶性なのに対しヒアルロン酸は水溶性なので弾かれてしまうとも。
ただ、ヒアルロン酸の保湿成分に関しては本物なので、肌に塗るものは表皮や角質層の保湿のためと割り切るべきでしょう。
一方で興味深いのがヒアルロン酸を飲んだ場合のデータ。
これまで高分子のヒアルロン酸を飲んだところで体内で分解され散ってしまうという意見が大勢で、今も否定派が多いのは事実であるものの、近年は高分子のものでも一定の吸収が見られるというデータもあり、低分子であればその効果はさらに高まるとされています。
この辺はまだデータが出揃っていないため結論は出ませんが、低分子のヒアルロン酸サプリメントなら一定の効果は見込めるでしょう。
ヒアルロン酸の間違った知識に注意
ヒアルロン酸はほうれい線の予防や改善の大きなカギを握っている成分で、それだけに積極的に使っている人も多いのかもしれませんが、現状では塗っても飲んでも顔のシワに直接作用するような効果はあまり期待しない方が良さそうです。
肌に塗る化粧水や美容液であれば、「ヒアルロン酸は真皮まで吸収されるものではなく表面を保湿するもの」、飲むタイプであれば「体内でそのほとんどは分解される」と覚えておきましょう。
低分子のヒアルロン酸なら一定の吸収がなされる可能性はあるものの、当然それは全身で使われることになるため、ほうれい線への効果は限定的と見て間違いありません。
そう考えると、ビタミンCやEを摂取して線維芽細胞を活性化しヒアルロン酸を生み出す方に向かう事が、活用の一番の近道なのかもしれませんね。
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