ほうれい線はβカロテンで消す
リコピンなどと同じカロテノイドに属するβカロテンは非常に高い抗酸化作用を持つため、ほうれい線の改善や予防に大いに役立つと考えられます。これを効率よく摂取するにはどういった食材をどういう方法で摂取すればいいのか?
βカロテンといえば誰もが思い浮かべるであろうにんじんで摂取するのがいいのか?それとも別の野菜や食材で摂ったほうがいいのか?
同じ抗酸化物質であるビタミンEに比べ遥かに高い作用を持つβカロテンだけに注意点がないのかも気になるところ。
ほうれい線のみならず美容に摂っても重要な役割を果たすβカロテンについて、様々な面から取り上げていきたいと思います。
βカロテンとは?
βカロテンは主に野菜…とりわけ緑黄色野菜の黄色やオレンジ、赤の色素で、リコピンと同様にカロテノイドに属します。
非常に高い抗酸化作用を持ち、細胞の酸化や老化を促す活性酸素を除去するため、ほうれい線の予防や改善に大いに役立つとみていいでしょう。また、βカロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるため「プロビタミンA」とも呼ばれることも。
このビタミンAは他のビタミンと同じように人間の体にとって重要な栄養素。これが不足すると皮膚や粘膜の健康を害する恐れがあります。
一方でビタミンAを過剰摂取すると頭痛やめまい、皮膚炎などの過剰症が出る恐れがありますが、必要に応じてビタミンAに変換されるβカロテンであれば過剰摂取による悪影響の心配がないなど優れた特性を持ちます。
ちなみに昔は「カロチン」と呼ばれることが多かった同成分。なんでも2000年に政府の「食品標準成分表」の表記がカロチンからカロテンに変わったことから「カロテン」という呼称になった模様。英語では「carotene」と書くため確かにカロテンで問題なさそう。ドイツ語で「carotine」と書くのは見なかったことにしよう。
βカロテンでほうれい線は消えるのか?
高い抗酸化作用を持つβカロテンを摂取することで、肌の老化を促進させる活性酸素の除去が期待できます。
そもそも見た目年齢を大きく引き上げるほうれい線の原因は真皮にあります。そして活性酸素はその真皮にハリやコシをもたらしているエラスチンやコラーゲンを変性・破壊してしまうのです。
βカロテンの作用によって活性酸素を除去すれば真皮のハリやコシを守ることができると考えられており、それは結果的にほうれい線を消すことに繋がると見ていいでしょう。
ただ、βカロテンがほうれい線の予防・改善に繋がるという客観的なデータはほとんど存在しないというのが実情。しかしそれを示唆するようなものは存在します。
βカロテンはターンオーバーを促進させる
トマトジュースや野菜ジュース、ケチャップなどで有名なカゴメが以前に行った調査ではβカロテンが肌に好影響をもたらしたという結果が出ています。
この調査では健康な女性60名を2グループに分け、一方にはβカロテンが豊富に含まれる野菜ジュースを、もう一方には水を8週間にわたってそれぞれ毎日200ml飲むというもの。
その結果、野菜ジュースを摂取した群では肉眼では見えない隠れジミが減少。
出典:カゴメ株式会社
この調査ではβカロテンの血中濃度も計測しており、カロテン濃度が高い人ほど隠れジミが減少していたとのことです。
これはカロテンがビタミンAに変換されることによって肌のターンオーバーが促進したからと見られます。そしてこの肌のターンオーバーはほうれい線にとっても極めて重要な要素。
ターンオーバーは肌の新陳代謝のことで、加齢とともにこの周期は遅れがちになり、それと共にシワやシミ、ほうれい線など肌トラブルが起きやすくなります。
しかしβカロテンが豊富な食品を摂ることで肌のターンオーバーが促されますので、この調査では将来的に出てくるであろう目に見えない隠れジミの減少という結果を生みました。
この2つの写真をよく見るとほうれい線も薄くなっている印象を受けます。表情や光りの加減によるものという可能性はあるものの、これを長期間続ければ目に見えた効果が出てくるのではなでしょうか。
βカロテンを含有する食品は?
ほうれい線対策に効果的なβカロテン。それを効率よく摂取するにはどうすればいいのでしょうか。
βカロテンというと誰もが思い浮かべるのはにんじんだと思います。しかしにんじん以外にも同成分を多く含む野菜は存在しますので、可食部100gあたりにβカロテンを多く含む食品を挙げてみましょう。
しそ | 11000μg | よもぎ | 5300μg |
---|---|---|---|
モロヘイヤ | 10000μg | 春菊 | 4500μg |
にんじん | 8200μg | 大根(葉) | 4400μg |
パセリ | 7400μg | ほうれん草 | 4200μg |
バジル | 6300μg | みつば | 4100μg |
あしたば | 5300μg | かぼちゃ | 4000μg |
こう見るとしそやモロヘイヤはにんじんより多くのβカロテンを含んでいることが分かります。しかしこれは100gあたりのβカロテンの含有量。
にんじん以外は緑の葉物野菜が並んでおり、100g摂取するのは簡単なことではありません。しそとかモロヘイヤとかパセリとバジルとか、100gも食えるか!
かぼちゃであれば100gの摂取はそれほど難しことではないものの、βカロテンの含有量はにんじんの約半分。様々な料理に使えるという点からもやはりにんじんで摂取するのが理に適っているでしょう。
βカロテンを効率よく摂取する方法
強い抗酸化作用によりほうれい線対策には欠かせないβカロテン。にんじんで摂取するのが良いのは想像通りだとして、どういった調理方法を行うのがベストなのか?
βカロテンはトマトなどに含まれるリコピン同様カロテノイドと呼ばれる色素に属しており、熱に強いことが特徴となっています。
むしろ加熱や調理によって細胞壁が壊れることでβカロテンは吸収されやすい状態になりますので、しっかりと加熱するべき。
また、油での調理や細かく砕くことでもβカロテンを吸収しやすくなります。
にんじんが主役の料理というのは思いのほか少ないためまとまった量を摂取することってあんまりないですよね。と考えると、最も手っ取り早くかつ効率的に摂取するにはにんじんジュースにして飲むのがベストなのかもしれません。
βカロテンの推奨摂取量は?
にんじん100gあたりに含まれるβカロテンの量はおよそ8000μg。一方、1日の推奨摂取量は男性で900μg/RAE。女性が700μg/RAEとされます。
「その程度ならにんじんを10g食べれば十分じゃん」と思ったあなた。それはちょっと違います。
βカロテンは吸収されにくい栄養素で、基本的には摂取した量の10%程度しか吸収されません。油で加熱調理するなど吸収しやすい状態にしたとしても20%程度が限界とされます。
となると、にんじん100gを摂取することで「8000μg÷10~20%=800~1600μg」という計算が成り立ちます。にんじん1本が約100~150gであることから、1日1/2~1本程度の摂取が望ましいことに。
まあ、これはにんじんのみから摂取することを考えればの話。現実的には他の緑黄色野菜もある程度摂ることになるでしょうから、必要なにんじんの量はもっと少なくなると見ていいでしょう。
ほうれい線対策には緑黄色野菜を
ほうれい線は真皮の衰えによって引き起こされ、その真皮はコラーゲンアやエラスチンによってハリや弾力が保たれています。そしてそれを破壊・変性させてしまうのが活性酸素。
そんな活性酸素を除去する抗酸化作用を持つのがβカロテンなのです。同じく抗酸化作用を持つビタミンEやビタミンCよりはるかに力が強いため、ほうれい線対策を行うなら積極的に摂っておきたいところ。
葉物の緑黄色野菜に多く含まれているが、最も効率的に摂りたいならやはりにんじんがベスト。ただし、生だとβカロテンは非常に吸収されにくいので、無駄なく体に取り入れるためにも加熱したり細かく砕いたりといった工夫は必要になります。
しかしにんじんは苦手な人が多い野菜でもあるため、どうしても食べられない場合は他の野菜やトマトのリコピンで補うという方法も。サプリメントを利用するのもひとつの手かもしれません。
βカロテンに限らず緑黄色野菜には様々な栄養素が豊富に含まれています。ビタミンやミネラルもほうれい線の予防・改善に重要な役割を果たすため、積極的にな摂取をおすすめします。
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